渡部龍朗の宮沢賢治朗読集
Audibleで数々の文学作品を朗読してきたナレーター 渡部龍朗(わたなべたつお) が、宮沢賢治作品の朗読全集の完成を目指し、一編ずつ心を込めてお届けするポッドキャスト。 ▼ 朗読音声とテキストがリアルタイムで同期する新体験オーディオブックアプリ「渡部龍朗の宮沢賢治朗読集」iOS版 / Android版 公開中 ▼…
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- Sep 27, 2026
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台川 (opens the original)
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📖『台川』朗読 – 水にゆれる光の網と、青葉の谷をさかのぼる明るい半日🌿✨ 静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『台川』。 生徒たちを引率して、釜淵まで行く朝です。さあ出かけましょうと声をかけても、まだ姿を見せない者がいます。もう二十分も待ったのだから仕方ない。来たい者だけを連れ、みちばたの草に腰をおろした校長を残して、おれは歩きだします。 乾いた粘土のみちの両側は、小松と若い林ばかりです。向うの崖に黒い岩が突き出ているのを見つけると、おれはさっそくそれがどうしてそこに在るのかを説明します。言いおわってから、かえって混ぜかえしただけだと思いなおし、言葉をあらためてもう一度云う。けれども生徒たちは黙って歩いているばかりでした。 坂がひどくなり、下の方で水の鳴る音がしはじめます。急な崖を木につかまって下りきっても、目あての瀑にはまだ届きません。おれは靴をぬぎ、水の中の石を動かして、みんなの渡れる足がかりをこさえてやることにしました。 生徒たちに向かって云う言葉のうしろでは、おれの独りごとがひとときも止まりません。いまの説明はどうだったか、云わずにおけばよかった
車 (opens the original)
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📖『車』朗読 – 松脂かおる松林の道と、木洩れ日ゆれる夏の一日🌲☀️ 静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『車』。 籠を頭にのせて町角に立っていたハーシュは、その日の午前中、仕事にありつけずにいました。弁当を食べはじめたところへ赤い髭の男がせかせかとやって来て、兵営の普請に使うテレピン油を工場まで取りに行ってくれと頼みます。渡された名刺と、よぼよぼの車を引いて、ハーシュは道を歩きだします。 楊の並木を過ぎ、白い杭のところで道を折れると、松脂の匂いのする松林にさしかかります。そこで水色の服を着た小さな男の子に呼びとめられ、車に乗せてほしいとせがまれます。乗せてやると、車はがたがたと揺れ、狭くなっていく道をハーシュはゆっくりと引いていきます。 そのうちに車輪のくさびが一本ぬけているのに気づき、ハーシュは近くの百姓家で縄を借りようとしますが、おかみさんにきつく断られてしまいます。腹を立てるのはもっともだと思い直したハーシュは、来た道を戻ってくさびを探しあて、車をなおして再び歩きだします。小さな川を渡ると、まもなく松林のはずれにテレピン油の工場が見えてきます。 仕
氷と後光 (opens the original)
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📖『氷と後光』朗読 – 雪と月あかりを走る夜汽車と、氷にきらめく朝の光🌙❄️ 静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『氷と後光』。 雪と月に照らされた夜の中を、汽車が北へと進んでいきます。赤い頭巾をかぶった幼い子どもは毛布にくるまれ、窓ぎわでぐっすりと眠ったまま。網棚に積まれたりんごの香りが車室いっぱいに満ちるなか、若い父と母は、山の上に見える白いものが雲か凍った雪煙かと言葉を交わしながら、次々に流れていく電信柱を眺めています。夜中を過ぎるころ、車室を暖めていたスティームが急に止まって冷えこみ、窓は氷でくもります。父と母は風邪をひかせまいと子どもに毛布を着せなおし、汽車が峠の頂上を越えて下りにかかると、明かりも暖かさももとに戻って、二人はまどろみながらかわるがわる子どもの寝顔をのぞきこみます。 夜が明けるころ盛岡に着くと、霜で真っ白になった毛皮や襟巻をまとった人たちが乗りこんできます。窓にはらんの葉のような形の氷の結晶がびっしりと広がり、そのすきまから東の空にほのかな琥珀色がのぞきはじめます。目を覚ました子どもに母が乳をふくませるころには、車室のまわりはしだ
二人の役人 (opens the original)
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📖『二人の役人』朗読 – 萱の穂の光る九月の野原と、きのこをさがす日曜の朝🌾🍄 静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『二人の役人』。 九月の野原は、草の穂と小さな林とでいっぱいでした。私は藤原慶次郎といっしょに、毎日そこへきのこや栗をとりに出かけます。ある日曜の朝、いつもの入口まで来ると、白い立札が一本立っていて、きょうはえらい人が来るから中へ入ってはいけない、と書いてありました。 それでも二人は、そのえらい人の顔を見てやろうと、野原でいちばん奇麗な林まで走って行き、草のなかにかくれます。待っていても人の来る気配はなく、こわさはいつのまにか薄れて、二人はきのこをさがしはじめました。そこへ慶次郎が耳もとで、来たよ、と云うのです。草の間からすかして見ると、二人の役人が、みちを外れてこちらへまっすぐ近づいて来るところでした。 つかまるものと覚悟した二人は、とったきのこをそっと棄てます。ところが役人たちは、子どもらのいることに気づきもしないで林の前に立ちどまり、かかえてきた袋の口を解きはじめるのでした。 草のなかにひそんでいるあいだ、聞こえてくるのは大人たちの声ば
耕耘部の時計 (opens the original)
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📖『耕耘部の時計』朗読 – 雪あかりの白い農夫室と、暮れて雪になる冬の一日❄️✨ 静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『耕耘部の時計』。 雪の照りかえしで白びかりのいっぱいな、冬の農場の農夫室。まん中の大きな釜からは湯気が盛んにたち、農夫たちは脚絆を巻いたり藁沓をはいたり、はたらきに出る支度をしています。そこへ俄かに戸があいて、赤い毛布でこさえたシャツを着た若い男が、きょうからこちらで働くようにと云われて参りましたと告げてはいって来ました。みんなの仕度ができるのを待つあいだ、男はふと、室の正面にかかった円い柱時計を見あげます。青じろくてつるつる光る、どこでも見たことのないような盤面です。 自分の腕時計とくらべて、あいつは十五分進んでいるな、と男が竜頭を引いて針を直そうとしたとき、そばで見ていた子供の百姓がくすりと笑いました。するとどう云うわけかみんなも一斉に、その青じろい美しい盤面を見あげながら、どっと笑ったのです。玉蜀黍の脱穀がひとくぎりついた昼どきにも、午の食事がすんだあとにも、男はこっそり自分の腕時計に目を落とします。時計はそのたびにちがう顔をしてい
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